インドカディ、インド雑貨の専門店 manishanisha(マニーシャニーシャ) は、現在準備中です。

2020/04/15 16:21


世界中何処にいても、不思議な出来事は起こるものですが、私が今まで経験した、
生涯忘れることがないと思われるような出来事や出会いの多くはインドで起こる、
といっても過言ではありません。

今回は、私がケララで出会った、ある日本人女性の話を書こうと思います。 

去年の5月、アユルベーダの医師であるケララの友人の結婚式に出席するために、
週末を挟んで数日休みをとり、プネからケララに行きました。
友達の家は、私の大好きなバルカラから車で約20分ほどの村の中にあるため、遊びに
行くときは、いつも1,2泊は友達の家にお世話になり、その他の時間の許す限りは
バルカラで過ごしてます。

バルカラに遊びに行くと、まず私が16年前に初めて訪れて以来の友人達のお店に顔を
出しに行くのですが、その友達の一人から、
「最近バルカラに長く滞在している日本人女性がいて、毎日この道を通るから、
 いつも声をかけるんだよ。君のことも話しておいたよ。」
と、聞かされ、
「ふーん、そう。」と、そのときはいつも通り軽く流していました。



その次の日に、またその友達のお店に遊びに行って、店の前でお喋りをしていると、
「ほら、あの人だよ!」
と、友達がビーチから歩いてくる一人の女性を指さしました。

シルバーグレーのショートヘアと同じ色の瞳を持つその女性は、母よりも年上とは
思えないほど、華奢で小柄ながらも筋肉質で無駄のない体形で、静かなオーラを
纏った、人を威圧することはなくとも、邪気を寄せ付けないような力強いエネルギー
を持つ人でした。
その時は軽く挨拶を交わし、特に何の約束もなくその場は終わったですが、その後、
結婚を控えたアユルベーダ医師の友達と、夕方ビーチを散歩していると、またその人に
ばったり出会ったのです。
(以下ではA子さんと呼ばせていただきます。)
毎日ビーチを散歩しながらごみ拾いをしていたA子さんが、ちょうど宿に戻るタイミング
でした。友達を紹介し、ビーチで3人で立ち話をしていた時、A子さんにふと、
「ちょっとあなたの手を触らせて。私、いろいろと見えるのよ。」
と、言われたので、少し緊張はしたものの、言われたとおりに私の両手をA子さんの両手に
委ねました。
「あなた、すごく守られているわね。とても良いエネルギーを持っているわよ。」

なんとも嬉しいお言葉を頂きました。

それを見て、
「じゃあ、僕のも」
と、友達が自分の両手を差し出すと、その女性の顔が強張り、
「いや、あなたは無理。触りたくない。」
完全拒絶・・・・。 
(その時の彼は、望んでいなかった結婚を間際に、色々とナイーブだったせいもあると
 思いますが、確かに友達はちょっと不のエネルギーを溜め込むタイプ)

そして、いかにバルカラには他にはない良いエネルギーが流れていることに同意をし、
私にとってバルカラがどうしてこんなにも癒しの場所である理由を再確認した後、A子
さんとはそこで別れました。



その次の日のお昼、そんなにお腹は空いていなかったのですが、バルカラにいる間に
いつも一度は食べに行くお気に入りのお店に足を運びました。
一人でミールスを食べ、チャイを頼んでぼーっとしているところに、なんとそのお店
にA子さんが入ってきました。
「あら、また会ったわね。ご一緒していいかしら?」
そう言って、A子さんは私の向かいの席に着きました。

その時に初めてお互い自己紹介をきちんとして、今までの経緯とお互いの人生について
語り合いました。

「私ね、いつもこういうものを持ち歩くことはないのだけど、なぜか今日は持って
 歩いているのよ。」
そこでA子さんが鞄から大事そうに取り出し、私に見せてくれたものは、彼女がビーチを
歩いていた時に、波打ち際で彼女の足元に流されてきたという、シバ神が施された古い
インドのコインと、ハートの形のローズクオーツ。

「最初にね、このコインを見つけて拾ったの。そうしたらその後でこの石が私の足元に
 流れて来たの。私ね、シバ神からこの石が送られてきたのだと思ったのよ。それでね、
 今わかったの。どうして私が今日この石を持ってきたのかってことが。
 あなたにあげるためだったのね。」

そう言って、A子さんは何のためらいもなく、奇跡的にA子さんのもとに流れ着いた石を、
出会ったばかりの私にくれたのです。

「大丈夫、すぐにいいご縁があるから。」
失敗の多い私の恋愛話にも、優しく耳を傾けてくれました。

お互い名刺なんてものは持たないタイプな上、A子さんは携帯電すら持っていなかったので、
とりあえず、その場にあった消えそうなペンで私のEメールアドレスを紙に書いて渡しました。
その時はまた偶然会える思っていたので、次の日の出発前にまた改めて連絡先を交換するつもり
でいました。しかし、結局そんな偶然は起こらず、その日以来A子さんとは会っていません。

今、A子さんが何処でどう過ごしているのかはわかりませんが、私に話してくれた通りの道を
歩み続けていると信じています。

A子さん、基インドの神から授かったとも言える石を手にし、A子さんのことを思い出すと、
悲しみではないにせよ、いつも涙が出そうになります。

私が彼女との出会いを一生忘れることも、私とA子さんの実体を超えた繋がりが消えることも
無ないでしょう。